「コンフェデレート」という名のバイク|Confederate Motorcycles

今日アメリカに「コンフェデレート(Confederate Motorcycles)」という名のバイクメーカーが存在するのをご存知でしょうか。H・マシューチェンバース氏の”理想とするモーターサイクル”を実現するために設立したバイクメーカーが「コンフェデレート社」です。

コンフェデレート社は、1991年にルイジアナ州バトンルージュにてH・マシューチェンバース(現会長兼CEO)により設立。チェンバース氏は同州で法廷弁護士を勤めていた人物です。その彼が昔から抱いていた”アメリカらしいバイク造り”の夢を現実にしたのです。

「コンフェデレートB91レイス」の無駄を省いた美しさ

 彼は”アメリカがもっともアメリカらしい時代”といえる1950年代のモータリゼーションに憧れを抱いていました。そのスピリッツを現在に蘇らすべく、プロトタイプの「コンフェデレートB91レイス」を造り上げたのです。

コンフェデレートB91レイス

「コンフェデレートB91レイス」は、1490ccの空冷V型SOHCエンジンを抱え125馬力をたたき出します。驚くのはその車重です。1500ccクラスのハーレーが300kg強に対し、このレイスは乾燥重量が185kgしかありません。見て分かるように無駄な贅肉を削ぎ落としたそのフォルムには、バイクのアイデンティティーともいえる燃料タンクがエンジンの上に無いのです。昔、ホンダがワークスレーサーに採用した「アップサイドダウン」のように燃料タンクはエンジンの下に配置しています。設計者J.T.ネズビットのマスの集中と無駄を省くこだわりが、この「レイス」の機械美となり形となったのです。

P120 ファイター

「レイス」から「P120 ファイター」へ

 「レイス」で実現できた機械美は更なる進化を遂げ「P120 ファイター」を造り上げました。120個の主要パーツから組み上げられ、動力には160馬力を発生する1966ccの空冷V型エンジンを搭載。重量は207kgと「レイス」同じく驚きの軽量化です。そして「レイス」も同じく1966ccの空冷V型エンジンへ変更、ファインチューンを果たしました。

苦難と再起

 2005年にアメリカ南部を突如襲ったハリケーンカトリーナにより、整いつつあった「量産体制」は無惨にも中止を余儀なくされました。チェンバース氏は慣れ親しんだルイジアナ土地での再起を諦め、アラバマ州バーミンガムを新天地とし再起動をかけたのです。

新たな”機械美”の想像

 コンフェデレート社は新たな挑戦として「C3 X132 Hellcat」を発表しました。理想とするモックアップは既に公開されており、年内には販売を予定しています。ライダーが位置するシート部分が極端にカットされたフォルムに目を奪われてしまいます。

C3 X132 Hellcat

夢を感じずにはいられない

なにかとその力にかげりを感じ始めた”ビックアメリカ”ですが、エリック・ビューエルやこのH・マシューチェンバースのように「理想のバイクを造る」という単純かつ途方もない夢には、まだまだバイクの発展と面白いと思わせる可能性を感じずにはいられません。

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